生と死
六道巡りツアー
13人の死者に用意されたとあるイベント。
それは死後の世界を巡る「六道巡りツアー」。
癖がある案内人シノミヤに連れられて恐怖体験をすることに。
死んで楽になりたい?
そこには、そんな言葉が二度と言えなくなるような世界が広がっていた。
Ignorance is bliss.
大崎克也の彼女である森島加乃子のおじいさんは、個人で島を所有しているという。
そのことに疑いを持った克也は加乃子に連れられてその島を訪れることに。
目も背けたくなるような秘密がその島には眠っていることを二人は知らない。
自殺考察
高校生である高木侑里の右目周辺には、手のひらほどの醜い火傷の痕がある。
幼い頃母につけられたその火傷はいじめの原因でもあった。
そんな侑里にクラスで人気者の本田志帆が、「自殺」を提案する。
「六道巡りツアー」「Ignorance is bliss.」の短編2作品と、表題作である「自殺考察」の3作品が収められている。
どれも、生と死について深く考えさせられる物語でした。
「死」に焦がれたことはありますか?
あなたは「死」に焦がれたことはありますか?
この帯にある言葉にドキリとしませんか。
誰もが…とは言いませんが人生で「死にたい」と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
その理由は他人からしてみたら些細なことかもしれません。
もしくは誰もが絶望するような理由があるかもしれません。
作中には胸がギュッと締め付けられるようなとても辛い描写もあります。
しかし、最後まで目を通して欲しいのは、「生と死」というものがどんだけ重いものなのかという作者である松波慶次さんのメッセージが伝わってくるようだからです。
私自身も大切な人を亡くした経験があります。
突如訪れる「死」。
後悔の無いようにとは無理かもしれませんが、それでも1日1日を大切に。
大切な人への想いは伝えていかないといけないものだと改めて思いました。
口先だけの偽善者が、自殺志望者を叱責するための言葉など、あってはならない。
他人への誹謗中傷。
その言葉の受け取り方は人それぞれ。
人を傷つけるような振る舞いや言葉にも注意が必要で、言葉の選び方にも意識していきたいところです。
是非【 自殺考察 】で改めて「生と死」について触れてみてください。
松波慶次さん
作家である松波慶次さん。
ブログも面白いのです。
作品を出版するにあたってのお話は特に興味深かったです。
物語が私たち読者の手元に届く過程、そこにも物語がありました。
そしてこの松波慶次さんのブログで「自費出版」というものを初めて知りました。
LINEのメルマガ機能もあり、こちらに登録すると短編小説が貰えます。
簡単なものかと思っていたのですが、こちらの物語もまた読み応えのある作品!
そしてメルマガ配信では小説の書き方や、小説を出版した松波慶次さんの実体験なんかも配信されるとのこと。
小説家を目指している方は是非読まれてみてはいかがでしょうか。
↑松波慶次さんのブログです
「六道巡りツアー」に登場した死後の世界の案内人シノミヤ。
人間臭さがあるちょっと嫌な奴なのですがこのキャラが個人的にすごく好きです。
作品の松波慶次さんのプロフィール部分にはこの「シノミヤ」の別作を思わせる内容が…
ちょっとワクワクしてしまいました。
この場をお借りして素敵な作品を紹介させていただくことを承諾してくださった松波慶次さんありがとうございました。