【 神様の暇つぶし / 千早茜 】

神様の暇つぶし 千早茜 小説

 

素敵レディ

 

千早茜 著

神様の暇つぶし

 

 

女性として尊敬するフォロワーさんが多数絶賛していて、素敵レディの秘訣がここにあるのかも…と、気になってしまった。

初読みの作家さんで、どんなお方なのだろうと調べてみると、過去の作品も文学賞を受賞していたり。

読み始めに驚いたのは、その美しい文章

こんな表現の仕方が出来るようになってみたいとひどく嫉妬してしまった。

作品ももちろんのことながら、Twitterのアカウントを覗かせていただくと、人柄まで素敵!

お洒落で可愛らしい千早茜さん。

女性ファンが多いのも納得してしまって、待ったなしのフォロー。

写真の見た目からして同じくらいの年齢なのかもと思っていたら、お姉さまでした。

お若い…美しい。

またこれが、ツイート一つ一つも美しいんですよね。

出会えて良かった。

 

神様の暇つぶし あらすじ

 

親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った――。

男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。

臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。彼と出会う前の自分にはもう戻れない。

唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。

出典 : 神様の暇つぶし

 

抱きながら、あのひとに食われてしまいたかった

 

交通事故で父を失い、孤独な生活が始まった主人公の藤子。

そんな時に出会った、父よりも年上の全さん。

誰かと関わると、もう出会う前の自分には戻れなくなってしまう。

突如現れた写真家の全さん。

藤子の父の友人でもあったことから二人の不思議な関係が始まっていく。

 

 

この全さん。有名写真家でもあり、モテモテ。

私の脳内設定ではイケオジイケボ

藤子の頭を乱暴に撫で回したり、突然顔をくしゃくしゃにして大声で笑ったり。

それが許される男性って…絶対イケメン(イケオジ)じゃん(偏見)。

全さん自身も「いっぱい泣かせてきた(女を)からな」と言ってましたし、もう危険な香りがプンプンする、火傷するぜ!的な男性なわけですよ。

 

それに比べて藤子はと言うと、身長が高いことがコンプレックス。

半分処女(何故かと言うのは是非物語で)。

私はもうああいうことはこりごりだ。ひとりは楽だ。すり減ることも、奪われることもない。

と、とても消極的なタイプ。

 

片や、いく人もの女性を泣かせてきた父より年上の有名写真家

片や、他人が作る流れにただ身を任せてきたウブな女子大学生

 

しかし、この藤子が気持ちの良いほど真っ直ぐになる瞬間がある。その藤子の言葉が刺さる。

私だったら、意地や恥ずかしさから言葉に出せないようなことをストレートに全さんにぶつけていく。

とても共感した上で、それを言葉にして伝えられる藤子が素敵だと思ってしまった。

互いに無いものを持ち合わせているこの二人の関係…。

 

恋愛って難しいですよね。

すごく個人的な話になってしまうんですけど、私は友人から恋愛相談を持ちかけられたときに、否定はせずにいつも応援するんです。

例えそれが、その友人にとって世間一般論的に良くないんじゃないかと思われる恋愛であっても。

だって、きっと自分の中に「こうしたい」っていう答えは迷いながらもあるはずで、欲しい言葉をあげて気持ちを少しでも向上させてあげれたらと思うから。

 

でも、そんな時にちゃんとその友人のことを思ってストップがかけられるのが、本当の優しさなんじゃ無いかと悩んだことがあります。

私は結局嫌われたくなくて逃げているだけで、冷たいのかなって。

もちろん、相手のことを思って、頑張ってほしくて言っている言葉には間違いはないんですけど。

 

そんな長年のちょっとした悩みを「これで良かったんだ」と思わせてくれる言葉がこの物語にはありました。

作中に登場する藤子の友人と里見。

みんな自分の恋愛だけがきれいなんだよ。

腑に落ちる言葉の数々。

結局、選択するのは自分。好きになったら負けなんて言葉があるように、思いを止められるわけもなく。

だったら今まで通り、大事な人の恋愛の行く末はどう転ぼうが応援してあげたいと思えた。

 

食と生と性

 

私自身食べることが大好きだ。

そして、食べることが大好きな人が大好きだ。

 

神様の暇つぶし 】ではお腹が空くような食事の描写がたくさん出てくる。

回転寿司に、焼き鳥、釜飯、焼きそば、お好み焼き、グリーンカレー….。

 

 

あれも食べるだろ。これも食べるだろ。食え!食え!

と藤子にすすめてくる全さん。

そして、藤子が気持ち良いほどによく食べる。

一見、色気のない描写なのかもしれない。

でも、やっぱり美味しく沢山食べるって人間として魅力的なんじゃないかな。

 

美味しいものを食べて獲れる幸福感って、人間として生まれたからには平等に持ち合わせているものだと思っていたから。

人と美味しいものを食べるってことは、幸せを共有できるわけだし、楽しい時間を過ごすと言う点でも、もっとも簡単なことなんじゃないかな。

きっと美味しそうに沢山食べる藤子を見て、全さんは「」を強く感じたんだろうな。

私も美味しいものを食べながら読みました。

 

 

やっぱりお腹が空くご飯描写のあるお話って楽しい。

中には郷土料理なんかも出てくるので、是非お腹を空かせて楽しんでほしい。

そしてもちろん気になる藤子と全さんの不思議な関係の行く末も!

 

 

 

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