【 52ヘルツのクジラたち / 町田そのこ 】

52ヘルツのクジラたち 町田そのこ 小説

 

『王様のブランチ』BOOK大賞2020受賞

読書メーター OF THE YEAR 2020 第1位

ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2020 第4位

2021年本屋大賞ノミネート作品!

 

どこまでも泳ぎ・届ける

 

町田そのこ 著

【 52ヘルツのクジラたち

 

 

様々な賞を受賞している話題の作品です。

個人的に特に気になったのが、「読書メーターOF THE YEAR 2020 第1位」です。

Twitterの読書垢でも利用している方が多い読書メーター。

読書好きによる、読書家たちが選んだ第1位がこの作品というところにとても興味を持ちました!

その「読書メーターOF THE YEAR 2020 第1位」を受賞した時の町田そのこさんのコメントがこちら!

 

いつもそうなのですが、出来上がったばかりの見本誌を手にしたときが一番不安です。もうわたしにやれることはなく、祈るだけとなるからです。

本作も、「この物語は果たしてどこまで泳いでいけるだろう」とドキドキしていました。たくさんの方の手に届き、愛されますようにと何度も祈りました。

今回、「届いたよ!」とこんなにも大きな声で返ってきたことは望外の喜びです。たくさんの方の思いの籠った声のおかげで、本作はこれからも泳いでいけます。本当にありがとうございます!

出典 : https://bookmeter.com/specials/bookmeter_of_the_year

 

この作品を読んだ方にはグッとくるコメント!

果たしてどこまで泳いでいけるだろう…。

届いたよ!…。

今後も、沢山の人の手にこの作品が届き、この勢いで泳いでいくことを願っています!

 

町田そのこさんの作品は初めて読みました。

Wikipediaを見ると好きな作家さんに、西加奈子さんを挙げているあたり親近感が勝手に湧いてくる…。後、ビール好きなところも。

そして、とても綺麗な方なのですね!

 

噂通りにこの作品すんごいんです!!

 

52ヘルツのクジラたち あらすじ

 

「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。

孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。

出典 : 52ヘルツのクジラたち

 

主人公の三島貴瑚みしま きこは、東京から訳あって大分の田舎町にやってきた。

逃げてきたと言ってもいいこの町で出会った少年「ムシ」。

幼き頃の自分を見ているような感覚を覚えた貴瑚は、ムシを放って置けない。

 

大事な人に聞いて欲しかった自分の声は、決して届かないものだと思っていた。

誰にも届かない声で歌い続ける。

まさにそれは、52ヘルツのクジラ。

 

他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。

たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。

そのため、世界で一番孤独だと言われている。

 

52ヘルツのクジラとは

 

 

クジラの鳴き声は、だいたい10〜39ヘルツという高さだそうです。

しかし、存在こそ発見されていないのですが、52ヘルツというとても高い鳴き声を持つクジラがいると言います。

その52ヘルツという声の高さは、あまりにも高く、他のクジラは聞くことができません。

52ヘルツの歌声は、広大な海で確かに響いているのに、受け止める仲間はどこにもいない…。

誰にも届かない歌声をあげ続けているクジラは、世界で一番孤独なクジラだと言われています。

 

これはこの【 52ヘルツのクジラたち 】の物語中だけの話ではなく、実在するお話です。

正体不明の種の鯨の個体であり、その鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出されてきています。

 

この52ヘルツのクジラの鳴き声は、太平洋の北東で記録されたものを、10倍に短縮し、周波数は10倍の520ヘルツに変換されているものを、Wikipediaで聞くことができます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/52ヘルツの鯨

こちらの「特徴」より聞いてみてください。

人間にも聞きやすく変換されていますが、どこか寂しげなクジラの声。

胸が締め付けられるようなその声に、切なくなります。

 

聞き入れる・受け止める

 

驚くほどに感情が揺さぶられる作品。

私は、感情移入してしまったり、胸打たれる作品を読むと、読了後にボーッと何も考えられなくなることがあります。

この放心状態はトランス状態のような気持ち良さもあったり!

久しぶりにそんな感覚を味わった作品でした。

西加奈子さんの「サラバ!」以来かな。

 

ここ最近こんなにも涙した作品があったかな?

と言うほどに泣きました。

多分中盤らへんからボロボロだったと思います。

 

その涙は、辛い!苦しい!可哀想!と言う涙はもちろん。

共感!感動!自分に置き換えてみて!と様々な涙。

 

上記でも述べているように、52ヘルツのクジラというのは「世界で一番孤独なクジラ」と言われています。

他の仲間に届かない高すぎる声で鳴くクジラ。

この世界に、辛く、苦しい思いを誰にも伝えることができず…届かない悲鳴を叫び続けている人間がいるかもしれません。

 

 

ひとというのは最初こそ貰う側やけど、いずれは与える側にならないかん。

いつまでも貰ってばかりじゃいかんのよ。

親になれば、尚のこと。

でもあの子はその理が分かっとらんし、もう無理かもしれねえ

出典 : 52ヘルツのクジラたち p224

 

この部分が一番響きました。

私自身も、いつまでも貰う側になっている部分があると、何だか深く反省しました。

子がいないということもありますが、やっぱり大人になりきれていないんじゃないかと。

誰かに…何かに…与える側になりたい。

 

そして、少しでも52ヘルツの声に耳を傾けられる人間でありたい。

それが、コミュニケーションという面であっても。社会貢献という面であっても。

発信する側ではなく、聞き入れて受け入れる、そんな人間でありたいと深く思えた作品でした。

 

本屋大賞ノミネート作品でこの【 52ヘルツのクジラたち 】を推す!と言っているフォロワーさんも多く!

私個人的にも、ここ数年の中でもトップクラスにすごい作品に出会ったと、衝撃的でした。

本当に、たくさんの人に読んでいただきたい。

この読了後感を味わってほしい。

そして、このご時世だからこそ聞き入れる受け入れる

それは広大な海のような、そんな寛大な心構えを養ってほしい。

 

 

https://twitter.com/Aya2020book
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