【 自転しながら公転する / 山本文緒 】

自転しながら公転する 山本文緒 小説

 

2021年本屋大賞ノミネート作品!

 

ヒューマンドラマ

 

山本文緒 著

【 自転しながら公転する

 

 

山本文緒さんの作品は、2001年に直木賞を受賞した【 プラナリア (文春文庫) 】を読んだことがあります。

働く女性をメインに、深い人間模様を描いた作品でした。

今作の【 自転しながら公転する 】も、とてもリアルでいて、たまに息苦しくなるようなヒューマンドラマがありました。

 

山本文緒さんの作品には、女性の悩みをとてもリアルに描いた作品が多いと思います。

今作は7年ぶりの新作長編!

山本文緒さん、本屋大賞ノミネートは初かな。

 

山本文緒さん自身も現在、生活している長野県と、ご両親のいる神奈川県を行き来する生活を送っているとのこと。

やはり年齢を重ねる度に考えなくてはならない親のこと。

今作の主人公も、親の将来について悩んでいる部分がありました。

まさにその描写は、山本文緒さん自身も体験したからこそ、とてもリアルに描かれているのかなと思いました。

 

自転しながら公転する あらすじ

 

東京のアパレルで働いていた都は母親の看病のため茨城の実家に戻り、地元のアウトレットのショップで店員として働き始めるが、職場ではセクハラなど問題続出、実家では両親共に体調を崩してしまい……。

恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなこと無理!

ぐるぐる思い惑う都の人生の選択から目が離せない、共感度100%小説。

出典 : 自転しながら公転する

 

主人公である与野都よの みやこは、母親の病気(更年期障害)の看病のために、仕事を辞めて実家に戻ることに。

大好きなアパレルブランドで働き始めてうまくいくはずだった。

しかし、様々なトラブルにより気も滅入っていた。

そんな中、母親の病気で辞めた仕事。

本当はどこかで仕事を辞める理由を探していたんじゃないか…。

 

地元に戻って始めた仕事でもトラブルが相次ぐ。

そんな中出来た恋人、羽島貫一はしま かんいちはどこか不真面目で適当。

 

両親のこれからのこと。

恋人とのこれからのこと。

仕事のこと…。

悩みは尽きず、むしろ悩むほどに絡まって抜け出せなくなる。

誰もが目を瞑りたくなる、人生でぶつかる問題。

年をとるということは若さと引き換えに安定をもらえるものだと思ってきたが、そういう認識が誤りだったのかもしれない。

都の人生は…。

 

共感度100%

 

本当に共感できることが多すぎて、読み進めていく中で何度挫けそうになったことか。

個人的には、とても面白かったです!大好きな作品になりました!

 

主人公、都は物語のスタート時は32歳。

そこから2年ほど踠いて足掻いてしていく…。

私はまさに年齢的にもドンピシャだったので、物語中の都の思いや悩みが刺さる!刺さる!

年齢が違くても、女性なら必ずは通る道なのでは?

むしろ男性だって悩むことがある、人生の通過点なのでは?

 

若い頃って誰もが将来はこうして年齢を重ねていきたい。

なんてしっかり人生設計をしていなくても、何とな〜く自分の中で形があるものじゃないですか?

そんな理想通りに、人生のことが進んでいる人っているのかな?

そう言った人生設計や自分の理想に含まれてこないのが、突然のトラブルやマイナスな出来事。

ある日急に親が病気になったら?

親ではなく、自分が病気になったら?

結婚できると思っている?

その結婚はうまくいくと思っている?

仕事がうまくいかなくなったら?

それは突然やってくるかもしれない…。

 

血の繋がった親の介護であっても、それはとても大変なこと。

自分の時間を今まで育ててくれた親へ差し出すことは出来ますか?

ではそれが親ではなくボランティアだったら。

肉親でさえ簡単ではないことなのに、赤の他人に無償で何かをすることは出来ますか?

本当に、目を瞑りたくなるような場面が人生には沢山ある。

 

 

世の中は優しくなくグルグルと公転していて…そんな自分自身もグルグルと自転していて。

表紙の女性はまさに、グルグルと迷走しているように見える。

 

人生において、一人の人間として、生きることに悩んでいる人、不安がある人。

是非【 自転しながら公転する 】を手に取ってみてほしい。

ちょっとは気持ちが楽になるかもしれない。

自転しているの自分一人じゃないし!

 

 

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