【 爆弾 / 呉勝浩 】

小説

 

第167回直木三十五賞候補作品!

 

怒りとムカつき

 

呉勝浩ご かつひろ 著

爆弾

 

 

初読みの作家さんでした。

2015年に第61回江戸川乱歩賞を受賞した【 道徳の時間 】でデビュー。

その後も、数々の賞を受賞されている呉勝浩さん。

爆弾 】を書き上げた際のお話がダ・ヴィンチのインタビューにありました。

呉勝浩さんの執筆の原動力は『怒り』だとのこと。

そして『ムカつき』が創作意欲を掻き立てているとは。

執筆の原動力は、「怒り」。ムカつきが創作意欲を駆り立てる──小説家・呉勝浩インタビュー | ダ・ヴィンチWeb
『羊たちの沈黙』『CURE』のようなサイコサスペンスと、『ダイ・ハード3』のスピード感を掛け合わせたら……。小説家・呉勝浩さんの最新刊『爆弾』(講談社)は、そんな着想から生まれたノンストップ・ミステリー。『スワン』『おれたちの歌をうたえ』に続く、…

 

爆弾 あらすじ

 

東京、炎上。正義は、守れるのか。

些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。

たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。

直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。

「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。

警察は爆発を止めることができるのか。

出典 : 爆弾

 

爆弾魔の悪意に戦慄する

 

酔っ払って酒屋の自販機を蹴り飛ばした上に、店員を殴りつけたという男が警察に連行される。

49歳の中年男性。身長170cm、体重80kg少々。いがぐり頭に太い眉。たるんだ頰とビール腹。そして気の抜けた愛想笑い。

そんな男は自分のことを『スズキタゴサク』と名乗る。

見るからにパッとしないこのスズキタゴサク。

しかし、そんな男が爆弾テロを予言し的中させる…。

 

 

このなんてことない物語の始まりかと思いきや、急な爆弾テロへの展開!

冒頭から物語のテンポが良く、常に先が気になり続ける感じ。

中だるみせずにどんどんボルテージが上がっていきました。

 

冒頭のあらすじを聞くだけでも、この『スズキタゴサク』が何者なのか?

何故、爆弾テロを予言できたのか。

彼の目的はなんなのか。

…気になりませんか?

 

スズキタゴサク』と爆弾テロとの関係性も気になりますし見どころでもあるのですが

更に面白いのが、彼と警察側との心理戦!

警察側はもちろん爆弾テロを止めたいわけです。

被害者を一人でも減らそうと、必死に彼に色々と聞き出すわけです。

しかしこれがまた一筋縄ではいかない。

そこには警察という組織の黒い部分が見え隠れしたり…。

意外な部分に繋がりがあったりと、常にハラハラドキドキ!

 

個人的には、類家るいけとう刑事が大好きです。

この類家とスズキタゴサクの心理戦!

めちゃくちゃ面白い!ほんとーに面白いんだから!

類家がなかなかのキレものなんですよ。

今後読まれる方は是非ともこの類家と共に、スズキタゴサクの言葉から真相を導いてみてほしい。

スズキタゴサクと爆弾テロとの関係は?

犯人は何故爆弾を仕掛けたのか?

(ちなみに私はまったく分かりませんでした)

 

しかし、謎解きだけではなく、貧困やSNS等のネット問題といった社会情勢方面でも深く考えさせられる一面も。

 

先日発表された「ミステリが読みたい!2023年版」でも話題になっていましたね。

話題になるのも納得の作品!

 

余談ですが。

爆弾+スズキと言われると、個人的に思い出すのが2000年にプレイステーション用ゲームとして発売された『鈴木爆発』。

加藤浩次さんの奥さんが出演されていることからも話題になりましたね。

…というお話がわかる方は同世代!

 

 

東京を舞台とした爆弾テロ事件!

犯人の巧みな作戦と悪意に戦慄すること間違いなし!

…そして最後の一文に、更なる戦慄が待っている。

 

 

 

https://twitter.com/Aya2020book
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