【 アライバル / ショーン・タン 】

アライバル ショーン・タン 絵本

世界各国29もの賞を受賞した衝撃作品

 

「文字のない本」

 

一切文字がない絵だけの本。

しかしながら、クオリティの高いサイレントムービーを観ているかのように物語りが自然と入り込んでくる。

文字がないからこそ、人それぞれの受け取り方が異なり、この本を手にした人の数だけの物語りが存在しているのかもしません。

中には、写真のコマ送りのように絵が並んでいる部分があります。

そこには登場人物の表情の変化が一つ一つ描かれていて、その人物の心の内側を読み取っているような感覚になりました。

 

 

読むというより感じ取る

 

家族を残し新しい土地に旅立つ主人公。

その土地では何もかもが新しく、初めて触れる物や文化。

まるで何も知らない生まれたばかりの新生児が成長していく過程を見ているようでした。

家族との別れを悲しみ、新しい土地では戸惑い、新しい出会いを喜び。

細かい手の動作や、表情の変化からそれを感じ取る。

目にしたこともない生物がいたり、目にしたことのない食べ物があったり、少し奇妙で独特な世界は、徐々にファンタジーの美しい世界へと変化していきます。

 

ショーン・タン

 

作者であるショーン・タンさんは、オーストラリアのイラストレイター。

様々な作品を生み出していて、その独特なタッチの絵はファンも多く、日本でも展覧会が開催されるほど。

アライバル 】から見るに、とても視察力の優れた方なんだろうなと。

 

沢山の作品を残しているショーン・タンさん。

個人的に気になっているのがこれまた大人向けの絵本【 セミ 】。

なんだか日本社会を描いているような一冊。

 

「 arrival 」=「 到着 」

 

主人公がたどり着いた世界がどんな世界だったのか、新しい土地で試行錯誤して得たものがどんなものだったのか是非確かめてみてください。

表紙にもいるこの少し奇妙な謎の生物

 

 

最初は少し恐怖すら覚えていたこの容姿は今、愛おしくて仕方なくなりました。

この生物がまた良い味を出していてとても心温まる一コマも…

 

奇妙でどこか懐かしい世界【 アライバル 】。

時間をおいて久々にめくってみるとまた新しい捉え方が出来るのかもと大切な一冊になりました。

 

https://twitter.com/Aya2020book
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