2020年本屋大賞ノミネート作品
第162回直木三十五賞受賞作品
第22回大藪春彦賞候補作品
アイヌ民族
「滅びゆく民」と言われたアイヌ民族。
それでもアイヌとして生き、やりとげなければならないことがある。
北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。
現代からは想像もできない厳しい環境の中、「熱」を求めて力強く生きていく人々がいた。
明治維新後から第二次世界大戦までのアイヌの歴史を、史実をもとに描いたフィクション作品。
テレビや教科書では知ることのなかったアイヌ民族の歴史や真実。
どこまでが史実なのか分からなくなるほどの現代に生きる様々な歴史の詳細。
有名な歴史上の人物「金田一京助」や、あの「南極探検隊」。
語り継がれるべきアイヌの歴史がそこにあった。
壮大なスケールで描かれるストーリーに、かなり時間をかけて読みました。
読了後は、正直この作品をどう紹介すれば良いのかと戸惑い、躊躇するほどの内容。
今も終わることはない。
語り継がれるアイヌ民族の歴史。
ロシアと日本に挟まれ、翻弄された樺太の先住民族の誇り高き『熱源』がそこにはあった。
受け継がれていく伝統
アップリケや刺繍の施された民族衣装アミプ。
歌で文化を語り継ぐユーカラ(叙事詩)。
喜びや悲しみを体で表現するムックリやトンコリ(踊りや楽器)。
美しい(ピリカ!)アイヌの文化は今の現代も語り継がれている。
私たちの生きている時代のどこかで、アイヌの子孫は変わらず、あるいは変わりながらも、きっと生きている。
戦争や伝染病などの描写もあり、詳しく調べると目も向けられないほどの悲劇。
そんな環境下でも、自分の民族を誇りに思い、闘い、守る。
ヤヨマネフクやブロニスワフ達の思いは今現代も生きて語り継がれている。
幾度の難題に立ち向かいながら、時には死と隣り合わせになりながらも、それを守り抜いてきた人々の「熱」を感じ熱くなる。
この先も沢山の人に、知って欲しい!読んで欲しい!歴史小説でした。
「生きるための熱の源は人だ」
「アイヌ」とは「人」を意味する。