今作は童話ミステリー
2020年本屋大賞にノミネートされた作品【 むかしむかしあるところに、死体がありました。 】の続編。
前作品の紹介→http://aya2020book.com/mukashimukashi/
前回の作品は日本昔話の世界でしたが、今作は童話の世界で事件が巻き起こります。
主人公の赤ずきんが、旅の途中で出会った死体の謎を解いてゆく。
赤ずきんの旅の目的であるラストには更に大きな事件が…。
前作同様、決して子供にはすすめることの出来ない、大人向けのストーリーです。
奇妙で恐ろしい事件でありながら、誰もが知っている話のオマージュ部分にちょっと笑えてくる。
しかし、事件を華麗に解決していく赤ずきんの推理にスッキリとするはず。
めでたし、めでたし…では済まないミステリーの世界。
旅の途中で遭遇した事件
ガラスの靴の共犯者
魔女に魔法をかけてもらった赤ずきんとシンデレラは共に舞踏会へ。
舞踏会へ向かう途中馬車で、ある男性を轢き殺してしまう。
しかしそれは、計算高きある人物の計画の始まり…。
甘い密室の崩壊
お腹を空かせた赤ずきん。たどり着いたのはヘンゼルとグレーテルの家。
美味しいミートパイをご馳走になる赤ずきん。
しかし、ヘンゼルとグレーテルの母親が帰ってこない?
母親の行方は…。
眠れる森の秘密たち
眠り続ける姫がいるという国にたどり着いた赤ずきん。
国の宰相を助けたお礼に、お城に泊めてもらうことになる。
そこで起きる殺人事件。
その事件を引き金に、国の大きな秘密があらわになっていく…。
少女よ、野望のマッチを灯せ
ついに目的地に到着する赤ずきん。
旅のきっかけとなった事件とは、旅の目的とは。
一筋縄ではいかない、赤ずきんの復讐劇がラストに巻き起こる。
あなたの犯罪計画は、どうしてそんなに杜撰なの?
オオカミのお話で有名な赤ずきんが、色んな物語の主人公と出会う部分は何だか不思議でした。
シンデラと赤ずきんが仲良く歩いていたり。
ヘンゼルとグレーテルと赤ずきんが食事をしていたり。
まさに夢の共演?
しかしそんな夢の共演は黒い事件にかき消されていく。
誰もが一度は耳にしたことのある童話。
おとぎ話の中で、可哀想なあの登場人物…。
純粋でいて、美しい心を持ったあの登場人物…。
しかし、この作品の世界ではなんて腹黒いことか!
人間の、黒い欲が渦巻く世界。
この赤ずきんはいったい何者?
と思うほどの赤ずきんが活躍していきます。
きっとあの、名探偵コ○ンや金田○少年もビックリな推理と解決。
前作と比べて
前作の衝撃が大きかった事もあり、今作は前作ほど衝撃はありませんでした。
事件のトリックは前作の方がすっごかったかなー。
今作は前作と比べて、ストーリー性が増したように思いました。
4つの事件の繋がりも濃くなっていて、後半伏線回収があったりする部分はとても面白かったかなと。
ラストは盛り上がりましたが、事件解決後があっさりしていた気がしました。
赤ずきんのキャラがとても味があって良かったこともあり、もう少し余韻が欲しかったです。
ブラック要素は今作の方が上でしたね。
人間のリアルな、おどろおどろしい部分が出ていた気がします。
前作の【 むかしむかしあるところに、死体がありました。 】を、読了済みの方は読んでみていただきたいです。
前作を読んでいない方も楽しめるので【 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 】で恐ろしい童話の世界をお楽しみください。
…出来ればどちらも読んでみて欲しい。