【 赤と青とエスキース / 青山美智子 】

赤と青とエスキース 青山美智子 小説

 

2022年本屋大賞ノミネート作品!

 

美しい物語

 

青山美智子 著

赤と青とエスキース

 

 

青山美智子さんといえば昨年2021年度の本屋大賞にも作品がノミネートされていました。

しかも2位という人気っぷり。

昨年ノミネートされた【 お探し物は図書室まで 】は、心温まる優しいお話でした。

【 お探し物は図書室まで / 青山美智子 】Aya@読書

 

今作は少しテイストが異なり、良い意味で青山美智子さんらしくないと感じました。

今作も本屋大賞にノミネートされるのにも納得!

読み進めていくほどに魅了される素敵な作品でした。

(装丁のデザインも美しい)

https://twitter.com/michicoming/status/1458276225919512582

赤と青とエスキース あらすじ

 

メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画(エスキース)」。

日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。

二度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。

出典 : 赤と青とエスキース

 

金魚とカワセミ

メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。しかしレイは、留学期間が過ぎれば帰国しなければならない。

彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……。

東京タワーとアーツ・センター

日本の額縁工房に努める30歳の額職人・空知は、既製品の制作を淡々とこなす毎日に迷いを感じていた。

そんなとき、十数年前にメルボルンで出会った画家、ジャック・ジャクソンが描いた「エスキース」というタイトルの絵画に出会い……。

トマトジュースとバタフライピー

中年の漫画家タカシマの、かつてのアシスタント・砂川が、「ウルトラ・マンガ大賞」を受賞した。

雑誌の対談企画の相手として、砂川がタカシマを指名したことにより、二人は久しぶりに顔を合わせるが……。

赤鬼と青鬼

パニック障害が発症し休暇をとることになった51歳の茜。

そんなとき、元恋人の蒼から連絡がくる。茜は昔蒼と同棲していたアパートを訪れることになり……。

 

そしてエピローグでは、再度読み返したくなるような結末が…。

 

エスキース

 

エスキースとは、下絵のことだ。

「下描き」ではなくて、本番とは違う紙や板に自由に描いて構想を練るのだ。

頭の中にあるものを、このリアル世界に落とす最初の作業。

描いているうち新たに生まれてくる光景。

妄想と現実を行ったり来たりしながら作品が創り上げられていく。

「はじまりの儀式」かもしれない。

出典 : 赤と青とエスキース

 

一枚の『絵画エスキース』をめぐって展開されていく物語。

一つ一つが異なった物語のように見える短編。

しかし、一つの『絵画エスキース』がその物語を繋いでいく。

 

 

終始心地よい気分で読み進めることができました。

とても美しい物語

個人的には昨年の【 お探し物は図書室まで 】より好きでした。

なかなか注目したことのない、絵画を収める専用の額縁についてや、画商についてのお話もとても興味深かったです、

 

ただただ、綺麗な物語…じゃないのがこの作品の面白いところ。

物語が進むにつれて、前の章に戻って確かめたくなる。

再度読み直したくなる。

でも、先が気になって一気読みでした!

 

連作。繋がっていく短編。

中でも私が好きだったのが「トマトジュースとバタフライピー」。

(バタフライピーとはマメ科の植物(ハーブ)、ハーブティーとして使われることが多く、その見た目は青く美しい)

漫画家の師弟の物語で、割と本編とかけ離れる部分もある物語なのでが…。

漫画家・タカシマつるぎ(ペンネーム)と、そんな漫画家のアシスタント砂川凌すながわ りょう

今や自分よりも売れっ子になってしまったかつてのアシスタント。

そんな元アシスタントへのタカシマの姿勢や接し方。

それに対する砂川は、とても不器用。

この2人の関係が、とても素敵な関係なんですよね。

そしてここでは、漫画家目線で「エスキース」を見つめていくのですが、

絵を描くうえでの「エスキース」は、漫画を描く上での「ネーム」という見方も面白かったですね。

 

色んな角度や方向から、色んな人間に注目される『絵画エスキース』。

その『絵画エスキース』の旅路を是非覗いてみてください。

読了後は、【 赤と青とエスキース 】このタイトルの意味にも、胸が熱くなるはずです。

 

 

https://twitter.com/Aya2020book
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