イヤミスの女王
真梨幸子 著
【 殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫) 】
50万部を超えるベストセラー作品!
目を瞑りたくなるような胸糞悪さ…なのに先が気になって仕方ない。これぞ『イヤミス』。
『イヤミスの女王』と呼ばれる真梨幸子さん。
真梨幸子さんは母子家庭で母と二人きりの生活の中、10歳の頃に弟が生まれて今まで自分に降り注がれていたものが無くなった。
なんて経験があり、そこから生まれた思いが作品に反映されていることもあるそうです。
また、不幸のどん底まで落とされている作品の登場人物。
そんな登場人物を見て「私はここまでひどくない」と、今の自分の辛い境遇を我慢していける一つのルーツになればいいとも過去に語っていました。
確かに自分の境遇や置かれている環境と比較してしまう部分はありました。
私はまだ大丈夫だ!と思えるのかもしれません。
殺人鬼フジコの衝動 あらすじ
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。
だが、彼女の人生は、いつしか狂い始めた。人生は、薔薇色のお菓子のよう…。
またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか?
あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ。
最後の一行を、読んだとき、あなたは著者が仕掛けたたくらみに、戦慄する!
出典 : 殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)
学校ではいじめの標的になり、家に帰れば両親からの虐待を受ける少女。
しかし、そんな少女の人生は家族の死によって一転する。
叔母の家で今まで経験したことのないような、満たされた生活を送るようになる少女。
自分の辛く悲しい過去を利用し、さまざまなものを手に入れようとしていく。
狂い始めた歯車はおかしな方向へと空回りしていく。
最後の最後まで気が抜けない、周りをも巻き込む少女の恐ろしい人生。
夢見るシャンソン人形
タイトルからなんとなく物語の内容が読めるような…と甘く見ていました。
一家殺人事件の生き残りの少女。
そんな少女が殺人鬼と成り上がるまでの物語だと。
(タイトルや、公表されているあらすじから想定できる内容。)
これだけでもかなりインパクトのある物語だとは思いますが、実際はそんな簡単なものではないのです。
もう冒頭から漂う胸糞悪さ。
目を瞑りたくなるような描写が盛り沢山。
ずーっと嫌な空気が漂っていて、スッキリしない苦しさを引きずっていく感じ。
しかしながら一気読みでした!
詳しくここでお話できないのが悔しいのですが、少女の成長に目が離せないんですよね。
結局先が気になって手が止まらず読み進めていく。
真梨幸子さんの作品は初めて読みましたが、めちゃくちゃ面白い。
「まさか…!」という感情でドキドキするんですけど。
そして驚愕のあれこれがあるんですけど。
問題はあとがき!
この物語は「あとがき」までが一つの物語です。
むしろその「あとがき」を読むためにそれまでを読んでいるような。
ここ最近読んだミステリー作品と比較しても一番驚愕したかもしれません。
驚愕…?戦慄…?
物語の始まりに出てくる「シャンソン人形」。
そこに隠されたダブルミーニング。
まさにおがくず人形。
是非、【 殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫) 】を読んでこの意味に驚愕してみてください。