【 クスノキの番人 / 東野圭吾 】

クスノキの番人 東野圭吾 小説

願いが叶う木

 

その木に祈れば、願いが叶うと言われているクスノキ。

何もかもが上手くいかずにいた青年、直井玲斗なおい れいとはとある出来事をきっかけに、名家の女当主である柳澤千舟やなぎさわ ちふねと出会う。

彼女からクスノキの番人になるよう言い渡される玲斗。

願いが叶う木というのは実は仮の姿。

そんなクスノキには秘密がありました。

 

クスノキの秘密

 

 

「柳澤」の血縁により守られてきた、月郷神社の伝統あるクスノキ。

玲斗は、願いが叶うと言われるクスノキの秘密は何も知らされずに番人として働くことに。

夜になるとクスノキへ人々が「祈念」に訪れます。

祈念を覗くことや、祈念者からその内容を聞くことは固く禁じられているため、真相が分からずにいる玲斗。

言葉では説明できないその秘密を自分で知っていくようにと千舟に命じられる。

仕事をしていく中で出会う祈念者や、血縁関係にある人間。

そんな人々と接していく中で、少しずつその秘密が明らかになっていきます。

 

祈念

 

クスノキに祈念に訪れる人々の目的は様々。

そしてこの「祈念」。

新月と満月の付近に行われることが多いのです。

なんだかスピリチュアルな感じが漂ってくる「祈念」。

祈願ではなく「祈念」と言われる由来。

新月と満月付近に祈念に来る人々が多い理由。

そしてその目的

とにかくこの目的と秘密が気になりすぎて、ここに触れてくる章からは一気読みでした。

さすが東野圭吾さんの作品。

とても読みやすいのも魅力の一つだと思います。

 

殺人事件や推理物ではない温かい物語

 

 

東野圭吾さんと言えばの、あの感じの推理やミステリーはなく、優しい物語になっています。

ちょっとだけ謎解き要素はあるのかな。

言葉遣いが悪く、だらしのない玲斗の成長過程や、祈念者の祈念への思いに感動しました。

家族愛あり、ちょこっと淡い恋心あり。

最後の玲斗が触れる家族愛のシーンでは涙しました。

 

主人公の直井玲斗も良いキャラでしたが、この玲斗の伯母であり、玲斗がクスノキの番人となるきっかけになった柳澤千舟。

この千舟がすごく好きになりました。

女当主としてクスノキを守ってきた強い女性。

玲斗に礼儀や作法を厳しく教える母親のようであり、仕事へ熱いプライドを持っていたりと、とにかくかっこいい。

そんな彼女にも弱みがありましたが、そこは是非【 クスノキの番人 】を読んで確かめていただきたいです。

 

言葉では伝えられないもの。言葉にせずとも伝わる思い。

伝えたくはなくても伝わってしまう思い。

人の思いは様々で、とても尊いものでした。

この世に生まれるべきでなかった人間などいません。どこにもいません。どんな人間でも、生まれてきた理由があります。

生まれてきた理由。生きる糧を見つけた時。

きっと一人ではなく、大切な誰かが側にいてくれるものなんだろうなと思います。

 

是非【 クスノキの番人 】で人の思いに耳を傾けてみてください。

 

 

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