第164回 芥川賞受賞作品!!
2021年本屋大賞ノミネート作品!
私にとって小説は背骨
宇佐見りん 著
【 推し、燃ゆ 】
2021年1月20日(水) 第164回芥川賞を受賞した翌日、21日(木)に2021年本屋大賞にもノミネート!
1999年生まれの21歳という若さもあり、とても注目されている宇佐見りんさん。
現役の女子大生ですよ!
すごいですよね…。
ちなみにこの「推し、燃ゆ」は2作品目だそうです。
デビュー作である【 かか 】は2019年に文藝賞を受賞していますね。
すごいですよね…(2回目)。
芥川賞受賞の会見でおっしゃっていた「私にとって小説は背骨」という言葉がとても印象的です。
これ(小説)があるからやっていけるという感覚。だそうです。
「背骨」と言われると、体の中心にあり、体を支えるなどの大きな役目をもつ部分ですよね。
宇佐見さんにとって「小説」というものが人生の中心にあり、自分を支えているものになっているのかもしれませんね。
まさにそれは、【 推し、燃ゆ 】の主人公あかりにとっての推し!
推し、燃ゆ あらすじ
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。
アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。
ある日突然、推しが炎上し――。
出典 : 推し、燃ゆ
高校生の主人公あかりは、アイドルグループ「まざま座」の上野真幸という推しがいた。
あらゆる情報を集めてきたあかりは、推しのことを良く知っている。
推しが見ている世界を自分自身も見たいと願う。
ある日、そんな推しがファンを殴ったとしてSNSが炎上する。
この炎上をきっかけに推しが大変なことになっていく…。
発達障害的な病状を持つ主人公。
彼女にとって推しとは。
推しの炎上で彼女はどうなっていくか。
そして推しは「人」になった。
推しとは
「推しが尊い」なんて言葉をよくSNS等で見かけます。
推しとは、一推し、推薦する…といった様な意味ですよね。
オタ活!なんて言葉もあるように、推しを思う気持ちは「好き」でははかり知れないものなのでしょう。
「推し」にも種類があるようです。
誰か一人を推すのではなく、そのグループ全体を推すことを「箱推し」「全推し」。
激しく推している場合は「激推し」「神推し」。
他にも数多くの言い方や、種類があるようです。
作中にこんな部分があります。
推しにまつわる諸々が好きになってくる。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、の逆だ。
その坊主を好きになれば、着ている袈裟の糸のほつれまでいとおしくなってくる。
そういうもんだと思う。
推し、燃ゆ p29
推しへの尊い気持ちが分かりますね。
まさに推しは主人公の生き甲斐、生きる気力、背骨であるのです。
生きる上でなくてはならないものなのです。
肉体の重さ
推しが大変なことになっていくにつれて、主人公あかりにも変化が現れます。
その過程の描写が凄い。
あかりの口には出さない辛さや、肉体の重さが伝わってくる。
ラストの描写はまさにあかりの思い通りにいかない「生きる」ということの難しささを表現しているようでした。
あかりの行動一つ一つに胸が締め付けられる。
ハッキリとした事は書かれていませんが。
周りとは同じようにはいかない葛藤や、もどかしさを見た気がします。
表紙の糸に絡まって身動きの出来ない女の子。
あかりのそんな苦悩を表しているのかな。
【 推し、燃ゆ 】の作中には言葉の選び方がすごい!と思うような表現部分が沢山ありました。
本当に21歳、現役大学生の宇佐見りんさんがすごいと言われるのに納得しました。
是非、そんな言葉の数々にダメージを受けてみてください。