子供が主役のコミカル・ミステリー
クレイグ・ライス 著
【 スイート・ホーム殺人事件〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 】
最近嬉しいことに、海外の作品をおすすめしていただき読む機会が増えました。
クレイグ・ライス アメリカの推理作家。
最近【 自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫) 】が面白くて感動していましたが、今作クレイグ・ライスの【 スイート・ホーム殺人事件〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 】も子供たちが主役の作品!
子供たちはもちろん、出てくる登場人物みんなキャラが立っていて面白かったです。
事件そのものや物語の内容を見ると、個人的には【自由研究には向かない殺人】が好みだったかもしれません。
ですが【スイート・ホーム殺人事件】の方がキャラへの愛着が強かったかな。
私は最初、旧訳版を購入してしまいそちらを読んでいたのですが、たまにスッと頭に入ってこない部分があったりして新訳を手に入れました。
しかし、この旧訳の方が好きだという声も多いみたいです。
何というか、子供達の会話も少し旧訳は古風な言い回しがあるのが気になったのですが、逆にそれが小さい子が背伸びをしている感じがしていいなと思う部分もありました。
新訳で気になる箇所を、旧約ではどんな表現の仕方をしているのだろうと調べてみるのがまた面白い経験になりました。
気に入った方は、旧訳の方も改めてチェックしたら面白いかも!
スイート・ホーム殺人事件 あらすじ
カーステアズ家の子どもたち、14歳のダイナ、12歳のエイプリル、10歳のアーチーは、勇んで探偵に乗り出した。
お隣りのサンフォード家の奥さんが射殺されたのだ。
でもおかしい。
銃声は二発聞こえたのに、被害者が撃たれたのは一発だけ。
そしてサンフォードさんの旦那さんも姿を消して……ミステリ作家のお母さんを有名にするために、子どもたちの大活躍が始まった!
推理作家のマリアン・カーステアズ(母)。
そしてカーステアズ家の3人の子供たち。
ダイナ(14歳)、エイプリル(12歳)、アーチ(10歳)。
子供たちは、お母さんを有名にしようと、お母さんの本で得た知識を使いながら隣の家で起きた事件を解決しようとする。
愛する母親のために奮闘する子供たちが可愛く、ユーモアで、時にハラハラドキドキさせるミステリー。
大人の現代童話!
惹きつけられる登場人物たち
この作品、何といっても登場人物がみんないい!
メインである3人の子供はとにかくませている。
警察を騙して事件を捜査したり、母の恋の行く末を案じてアドバイスしてみたり…そんな言動が可愛いんですよね!
個人的に『フルハウス』を思い出しましたね。
子供ながらに一生懸命背伸びして強がってみせたりする姿。
可愛くて魅了されました。
「マスからもね。それから、すぐにマニキュアは乾くから、水道の水をあてるといいわ。そうするとマニキュアのもちがいいの」
この言葉、12歳の女の子エイプリルの母マリアンへのアドバイスです。
私が12歳の頃なんてやっとどんな服が着たい程度の欲が出てきたかな?レベルだったような…。
メインの3人はもちろんですが、この子供たちに足を引っ張られてしまう刑事がまた面白い!
彼は、ある経験から子供の扱いに自信があるのですが…あぁ言いたい!
是非このオヘア刑事を知っていただきたい。
可愛い子供たちとほんわかとした温かい雰囲気ですが。
物語中に巻き起こる事件。
その裏に隠された真相を子供たちと一緒に解明していきましょう!
読み終わる頃にはあなたもきっと、ミートローフとレモンメレンゲパイが食べたくなっているはず!