孤高の天才画家の最期
原田マハ 著
【 リボルバー (幻冬舎単行本) 】
原田マハさんとゴッホと言えば…。
http://aya2020book.com/たゆたえども沈まず/
【 ゴッホのあしあと (幻冬舎文庫) 】
http://aya2020book.com/ゴッホのあしあと/
という過去の作品があります。
【 たゆたえども沈まず (幻冬舎文庫) 】ではゴッホの弟テオの視点でゴッホの生涯を追っていました。
ゴッホというと、生前に自分の作品が売れることなく自ら拳銃で命を絶つ… という話がとても有名だと思います。
「孤高の天才画家」「生涯孤独の天才芸術家」なんて言われていたりしますね。
たゆたえども沈まずでも、その辛いラストが描かれています。
しかし、今作の【 リボルバー (幻冬舎単行本) 】ではそんなゴッホの最期の事件を覆す「他殺説」の影が…。
現に犯罪科学を用いて、拳銃の持ち方や残った火薬の跡などから他殺説というのは浮かび上がっていました。
では他殺であった場合に一体誰が…何のために…。
という点においてもさまざまな議論があったようです。
あなたはどんなゴッホの最後を信じて望みますか?
リボルバー あらすじ
パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。
週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。
高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。
それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだという。
「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」
ゴッホとゴーギャン。
生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの、真実の物語。
出典 : リボルバー (幻冬舎単行本)
ゴッホとゴーギャンの関係性について博士論文を書くつもりで研究を続ける高遠冴。
そんな「ゴッホとゴーギャンの専門家」である彼女の元に一つのリボルバーが持ち込まれる。
勤め先であるオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)の協力のもと、リボルバーについて調査を進める。
そこで浮き上がってきた恐ろしい可能性。
「ゴッホの他殺説」
そんな謎の真相の鍵を握るのは手元にあるリボルバー。
あくまでフィクションでありながら、その場に原田マハさんがいたのでは無いかと疑いたくなるようなリアルな物語。
Revolve
ゴッホの最期は結局のところ謎に包まれています。
有名な「耳切り事件」からも分かるように、ゴッホの精神面はとても不安定なものでした。
(共に生活していたゴーギャンと喧嘩をした際に、自ら切り落とした自分の耳を女性にプレゼントしたとされる事件。)
出典https://ja.wikipedia.org/wiki/フィンセント・ファン・ゴッホ#アルル市立病院
サンレミの療養所に入りながらも絵を描き続けていたゴッホ。
孤独に一人、沢山のことを抱えて自ら命を…というのもとても考えられることです。
しかし、さまざまな検証から上がってきた他殺説。
中には地元の子供達が持っていた銃が暴発してゴッホの命を奪った。という可能性も浮上しました。
事件直後は自殺と見られていたゴッホの最期。
自殺者の利用は禁止されていたこともあり、ゴッホの葬儀はキリスト教会から拒否されたそうです。
また、弟テオへ宛てた手紙には「ミレーは死んでから作品が高騰した」という記載があったそうです。
死ぬ間際にテオからの資金援助が滞る問題があったことからも、自分の作品が売れるかもしれないと死を選んだ可能性すらあるのでは。
上記のことからゴッホが他殺だった場合にその死が報われないのでは無いかと、個人的には自殺説を信じたいと思ってしまう。
今作の【 リボルバー (幻冬舎単行本) 】ではまったく新しい説が飛び交います…。
そこには画家としての生涯で良きライバルでもあったポール・ゴーギャンとの関係性も振り下げられていきます。
孤独な生涯を送ったゴッホ。
ゴッホとは打って変わって、結婚したのちに5人の子供に恵まれて、人生の終わりにはタヒチで愛人を作って絵を描き続けていたゴーギャン。
全く真逆の人生を歩んでいた二人。
しかし、実際に幸せだったのはどちらなのでしょう。
アルルの地で生活を共にし、「耳切り事件」後の別れから会うことのなかった二人…。
ゴッホの最期にもゴーギャンは姿を現さなかったといいます。
あんなに共に刺激しあい、画家として成長しあった二人ですが、どこかでゴッホとゴーギャンの関係性もぐるぐるとRevolveしていたのかもしれません。