ゴッホの名画「星月夜」の誕生
19世紀末、パリ。
孤高の画家である兄のフィンセント・ファン・ゴッホと、それを支えた弟テオ。
日本美術を広めるためにパリにやってきた画商の林忠正と、その助手の加納重吉。
四人の魂が共鳴したとき、あの傑作が生まれ落ちた。
どこまでもリアルな史実をもとにしたフィクションの物語。
ゴッホの真実。
フィンセント・ファン・ゴッホ
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/フィンセント・ファン・ゴッホ
元々は画商で働いていた兄フィンセント(ゴッホ)。
その後、挫折を繰り返す中で画家を目指すことを決意します。
弟テオドルスからの援助を受けながら、様々な地を渡り、画作を進めていく。
日本の浮世絵や、印象派の影響を受けながらゴッホ独特の絵が生まれていく。
病に侵され、自虐的な事件を起こしたりと、急な発作との戦いの中でも絵を描き続けました。
自らを銃で撃ち、37歳という若さで人生を終えてしまう。
生前に売れたゴッホの絵は一枚だけと言うことからも、かなり苦しい人生を送ってきたことがわかります。
日本美術
19世紀後半のフランスでは「印象派」と呼ばれる今までの精密な絵とは異なる印象主義な絵が流行り始めました。
この「印象派」の絵は日本の浮世絵からも大きな影響を受けています。
それまでのヨーロッパの絵画といえば、宗教画や肖像画といったものが多く、日本の風景が自由に描かれた浮世絵には誰もが驚かされました。
ポスト印象派であったゴッホも、この日本美術である浮世絵を好んでいました。
ゴッホの「タンギー爺さん」という作品の背景にも浮世絵が多く並べられています。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/タンギー爺さん
作中では忠正と重吉の日本人二人が、ゴッホの弟テオに兄のためと、浮世絵を売る場面があります。
当時日本で紙くず扱いされていた浮世絵は、ヨーロッパで多くの画家に影響を与えた伝統あるものなのです。
【 たゆたえども沈まず 】の裏表紙には、ゴッホが模写をしたとして知られている「大はしあたけの夕立」という浮世絵があります。
他にも作中でのは沢山の浮世絵が登場します。
史実をもとにしたフィクション
あくまでフィクション。
でありながら、細かい部分まで史実をなぞっている本作。
ゴッホの作品というと、絵の解説にはゴッホの苦悩が書かれているものが多くあります。
そんな苦悩を 原田マハ さんがとてもリアルに物語にしていました。
沢山の秘話をもって生まれたゴッホの作品たち。
作品を読むことで、ゴッホの絵が彼の人生そのものだったことが読み取れていくはずです。
ゴッホ好きな方、印象派(モネやルノワール)の作品が好きな方には特に手にとっていただきたい作品でした。
たゆたえども沈まず
「たゆたえども沈まず」
それはパリの人々の熱い思い。
ゴッホが心のそこから描きたかったもの。
決して沈んだり、消えることのない沢山の名画に込められた想い。
「画家・ゴッホを世界に認めさせるためにーー強くなってください。」
世間では突如現れた憎きウイルスにより、沢山のイベントが自粛で中止になったり延期になったりしています。
https://artexhibition.jp/london2020/で初来日予定の「ひまわり」。
これも延期が続いています。
ゴッホの絵と出会えるその日まで、強く待ち続けましょう。
「印象派」がどう生まれたのか。
「ジャポニズム」がパリにどんな影響を与えたか。
ゴッホの人生の真実。
彼が自ら最期を迎えた理由。
ぜひこの【 たゆたえども沈まず 】を読んで確かめてください。