【 なめらかな世界と、その敵 / 伴名練 】

なめらかな世界と、その敵 伴名練 小説

 

ベストSF2019国内篇 第1位

 

作者のSF愛が詰まった傑作集

 

伴名練はんな れん 著

なめらかな世界と、その敵  

 

 

伴名練さんの作品は手に取るのも初めてでしたが、伴名練さん自体を存じ上げてませんでした。

覆面作家さんなのですね。

好きな作品でもある伊藤計劃の『ハーモニー』へのトリビュート作品が収録されていると教えていただいたのがきっかけで読み始めました。

しっかりSFながらとても読みやすく、読後感も心地よい作品でした。

 

なめらかな世界と、その敵 あらすじ

 

いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描く表題作や、ありえたかもしれないもう1つの日本SF史を活写する「ゼロ年代の臨界点」、伊藤計劃の『ハーモニー』にトリビュートを捧げた「美亜羽へ贈る拳銃」、未曾有の災害が発生した新幹線の乗客と取り残された人々のドラマ「ひかりより速く、ゆるやかに」など、人の心の隔たりと繋がりをめぐる奇跡の傑作集。

著者渾身の1万字あとがきを併録した決定版。

出典 : なめらかな世界と、その敵

 

生涯ベスト級の6つの傑作、6つの世界

 

 

なめらかな世界と、その敵

いくつもの世界を行き来できる少女たちの青春ストーリー。

ゼロ年代の臨界点

もしもSFの始祖が女学生だったら…そんなあったかもしれないゼロ年代の歴史改変SF。

美亜羽に贈る拳銃

脳科学を題材として伊藤計劃『ハーモニー』にトリビュートを捧げる恋愛小説。

ホーリーアイアンメイデン

書簡で綴られていくのはある姉妹の絆と事件の全貌。

シンギュラリティ・ソヴィエト

ソ連とアメリカの超高度人工知能がせめぎあう歴史ドラマ。

ひかりより速く、ゆるやかに

摩訶不思議な災害に巻き込まれた新幹線の乗客たちをめぐる書き下ろし作品。

 

秀逸揃いでどれもいい!

 

6つの作品、どれも面白かったです。

1作品目の表題作でもある「なめらかな世界と、その敵」は少しラノベ感がありどうかな?と思いつつも、読み進めてみると爽快感もあり読後感も心地よいものでした。

むしろこのラノベ感でかなり読みやすいイメージがつき、その後の作品にも期待感が上がる!

 

6つの作品の中でも私が気に入ったのは「ゼロ年代の臨界点」と「ひかりより速く、ゆるやかに」。

ゼロ年代の臨界点」はSF作品の知識がない私には、SFの始祖をテーマにされている部分で難しくも感じましたが、読み終えて色々と物語を回想してみると、見えていないものが見えてくるような感動がありました。

ひかりより速く、ゆるやかに」はただただストーリーが好き!面白い!

時間の歪みや、時間の封鎖と言ったような『時間』にまつわる事件が起きるのですが…。

読み手である私自身も何が起きているのか分からず。

どうなっているのか先が気になって読む手が止まらずでした。

ラストも好みでした。

 

そして読むきっかけとなった、伊藤計劃の『ハーモニー』へのトリビュート作品美亜羽に贈る拳銃」。

伊藤計劃の『ハーモニー』を読んだことがある方ならテンションが上がってしまうような内容と、しっかりと『ハーモニー』『ミァハ』の影が!

更に、斜線堂有紀さんによるSF入門な解説もあり、沢山のSF作品が読みたくなるような読み応えのある素敵な解説でした。

 

SFはあまり得意ではない…と言う方にもおすすめしやすい作品だと思います。

是非【 なめらかな世界と、その敵 】でSFの世界を堪能してみてください。

 

 

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