第34回柴田錬三郎賞受賞作!
2022年本屋大賞ノミネート作品!
作家生活10周年
朝井リョウ 著
【 正欲 】
朝井リョウさんと言えば【 何者 】で直木賞を受賞した、直木賞作家さんですね。
また、神木隆之介くん主演で話題になった映画、【 桐島、部活やめるってよ 】の原作者でもありますね。
1989年5月31日と平成生まれだそうで、お若いのに凄い!
また、今作【 正欲 】は作家生活10周年作品とのこと。
特設サイトには作品に対する著名な方からの声や、書店員さんからの声なんかも集まっていました。
今なら試し読みもできるみたいなので是非一度覗いて見てください。
正欲 あらすじ
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。
息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
しかしその繋がりは、”多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった――。
出典 : 正欲
YouTuberになった不登校の息子に頭を抱える検察、寺井啓喜。
なかなか人に心を開けない、デパートの布団売り場に勤める、桐生夏月。
家族以外の異性に触れたことも、触れられたこともない恋する女子大生、神戸八重子。
人には言えないとある事情を抱える3人を軸に話が進んでいく。
そして、ある事件をきっかけに3つの物語が繋がっていく。
繋がりの先に待っていたのは、孤独で生きづらい世界…?
多様性
物語は人間の「欲望」がメインになっていきます。
人の「欲」というのも皆同じものを持っているわけではなく。
中には理解されにくい「欲」「性癖」を持つ人間もいるわけです。
この「理解されにくい」と言っている時点でマジョリティ(多数派)の意見なんですよね。
朝井さん自身も『生のエンジン(人間を生かすもの)』をテーマにとおっしゃっていました。
本日9月5日付の神奈川新聞に『正欲』にまつわるインタビューが掲載されました。Webでもお読みいただけます。https://t.co/T6w0b4hXR0
— 朝井リョウ (@asai__ryo) September 5, 2021
幸せの形は人それぞれ。多様性の時代。自分に正直に生きよう。
そう言えるのは、本当の自分を明かしたところで、排除されない人たちだけだ。
『多様性』または『ダイバーシティ』なんて言われるこの言葉。
どんなイメージを持ちますか?
最近では「差別を無くそう」「多様性を尊重しよう」みたいな言葉を耳にする機会も増えてきました。
しかし、先入観から物事を決めつけてしまったり、人との違いを認められなかったり…。
どんなに意識しても、はたして心理的な部分ではそれを受け入れることができるのか。
【 正欲 】を読んでみて、今まで耳にしてきたそのような言葉がマジョリティ(多数派)による綺麗事のように思えてきました。
というと言い方が悪いかもしれません。
あらゆる場面で私たちは「マジョリティ」と「マイノリティ」に分かれていきます。
自分とは正反対の意見を理解するということはとても難しく、歩み寄ろうとすることは時として相手を傷つけることになるかもしれない。
そんなことを考えながら、自分自身も過去に無責任な綺麗事だけを口にしていたんじゃないかと怖くなりました。
まさにタイトルの『正欲』…「正しい欲」とはなんなのか。
そんなことを考えさせられる、今後の自分の身の振り方というか、考えを改めようと思える作品でした。