【 星を掬う / 町田そのこ 】

星を掬う 町田そのこ 小説

 

2022年本屋大賞ノミネート作品!

 

2021年本屋大賞受賞作家

 

町田そのこ 著

星を掬う

 

 

町田そのこさんと言えば【 52ヘルツのクジラたち 】で2021年度本屋大賞を受賞された作家さん。

【 52ヘルツのクジラたち / 町田そのこ 】Aya@読書

本屋大賞受賞からの第1作目である今作も、見事に本屋大賞にノミネート!

授賞式で町田そのこさんを見て、綺麗な人だな。と思ったのがまだ記憶に新しいです。

10歳の頃に親の影響で作家を夢見てきたという町田さん…。

しっかり夢を叶えてらっしゃる。

好きな作家に西加奈子さんをあげている時点で親近感!

そしてそんな好きな作家さんと、今回本屋大賞という同じ舞台に立っているのもすごい!

 

星を掬う 】の公式サイトから試し読みもできるとのことなので是非!

星を掬う 特設ページ 中央公論新社

 

星を掬う あらすじ

 

小学1年の時の夏休み、母と二人で旅をした。

その後、私は、母に捨てられた――。

ラジオ番組の賞金ほしさに、ある夏の思い出を投稿した千鶴。

それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。

この後、母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見ることになって――。

出典 : 星を掬う

 

千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」。

そこには、自分を捨てた母・聖子がいた。

他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。

「普通」の母娘の関係を築けなかった4人の共同生活。

そんな突如として始まった共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎える。

 

さざめきハイツメンバー

 

芳野 千鶴(よしの ちずる)

主人公。幼い頃に母に捨てられ、その後父親と祖母に育てられる。

離婚した旦那からは付き纏われ暴力を振るわれる日々。

そんな時に逃げ込んださざめきハイツで母親と再会することに。

 

内田 聖子(うちだ せいこ)

千鶴が小学1年生の時に姿を消した母親。さざめきハイツの持ち主。

さざめきハイツで再会した母親は千鶴の知っている母親とは何かが違った。

千鶴を捨てた聖子の真相とは。

 

芹沢 恵真(せりざわ えま)

聖子のことを「母」と呼び慕う、美人の女の子。

有名な美容室で人気の美容師。

そんな彼女が聖子を母と慕う理由とは。

 

九十九 彩子(つくも あやこ)

さざめきハイツの家事と、聖子の身の回りの世話を担当する40代女性。

娘に捨てられた過去を持っている。

そしてそんな娘がある日…。

 

 

個々に母娘の関係を築けなかった4人。

後悔を抱きながらも、痛みや悲しみを理由に悲劇のヒロインとなる千鶴。

これは全て自分を捨てた母親のせいだ。

都合の悪いことは母親のせいにする。

捨てられた」という過去を免罪符にしてきた。

しかし、さざめきハイツの人間と触れ合うことであることに気付き始める。

 

わたしの人生はわたしのものだ!

 

DV、認知症、ネグレクト…重い描写もあるため、受け取り方は人それぞれになりそうな内容ではありました。

でも、誰もが他人事ではない問題ですよね。

どれも辛かったですが、個人的に一番苦しかったのは「認知症」でしたね。

自分の母親が、ある日急に自分のことを忘れてしまったら。

 

物語の主人公である千鶴は、捨てられた母親との再会を果たすも、その母親は若年性認知症を患っております。

弱っていく母親はたまに記憶を失う。

考えただけで怖くないですか?

親を持つ人間は皆、他人事ではないはず。

私だったらどうするだろう。どうしてあげるのが正解なのか。

そんなことを考えながら読み進めました。

 

そして忘れられた側だけが辛いわけじゃないんですよね。

一番辛いのはやはり認知症患者である母親なのでしょう。

思ったことが伝えられない。

記憶の海から思い出したもの、伝えたいものを掬いたいのに掬えない…。

掬い方がわからなくなる。

自分の脳が思い通りにいかなくなるってどんなに辛いことでしょうか。

 

こういう時にどうしてあげるのが一番なのでしょうか。

愛する人と一緒にいたい!相手もそれを望んでいる!というのはもしかしたら身勝手な考えかもしれない。

作品を読んでみて、そんな場合の歩み寄り方を見た気がしました。

親孝行しよう。

そして、記憶の海に輝く星々を、主人公と共に探してみましょう。

皆さんも、大切な人との思い出を掬いあげて、そんな思い出に浸る時間を久しぶりに作ってみてはいかがでしょうか。

そんな、大切な人との時間を更に大切に思う作品でした。

 

 

https://twitter.com/Aya2020book
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