【 流浪の月 / 凪良ゆう 】

流浪の月 凪良ゆう 小説

2020年本屋大賞ノミネート作品

 

愛ではない。けどそばにいたい。

 

互いに惹かれ合う家内更紗(かないさらさ)と佐伯文(さえきふみ)。

足りないところを埋め合っていく、そんな特別な関係。

 

一度、望まぬ別れを経験した男女。

再会すべきではなかったのかもしれない。

そんな二人の、辛く悲しくも温かい、新しい人間関係への旅立ち。

 

本屋大賞ノミネート10作品で、最後になる作品のご紹介です。

 

 

「浮世離れした人」=「マイペースすぎてやばい人」

周囲からは変な目で見られる、変わり者の更紗の母 家内灯里(かないあかり)と父 家内湊(かないみなと)。

そんな浮世離れしていると言われる二人が、更紗は大好きだった。

外国語のラベルが貼られた、ラムやジンやウォッカやテキーラの瓶、南の島の海色、真夏のバッタ色、白雪姫の毒林檎色、お母さんの派手な爪の色。

大好きな綺麗な物と、大好きな二人との幸せな生活。

いつまでも続くと思っていた、大事な時間だった。

 

 

常識とは

両親と離れ離れになった更紗。

自分が思う常識が通用しない、とても窮屈な生活に息苦しさを感じていた。

手を差し伸べてくれたのは10歳も年上の佐伯文。

二人の常識破りの自由な時間も長くは続かなかった。

 

 

ネットで誰でも簡単に情報が得られる時代。

しかし、その情報は本当に嘘偽りのないものなのでしょうか。

その情報に隠されたドラマや真相。

安易に鵜呑みにできない情報ばかり。

そんな情報に踊らされたくない。

そうは思いつつも、やはりネット上の拡散は恐ろしく、時に醜い。

そんなインターネットという明るみで公開処刑されれば、一生消えることのない傷がつく。

「デジタルタトゥー」

消えない傷がついた体で生きていくのはどんなに辛い事でしょうか。

 

 

読んでいて、とても切なくなり、ぎゅーっと苦しくなる。

なのに読む手が止まらず涙が出る。

 

あなたは人に優しくできますか?

親切な人ですか?

では、その親切は本当に相手は望んでいる事ですか。

 

 

常識とか、世間体とか、自己満足の優しさとか。

そんなんじゃなくて!

自分に素直に生きていきたい。

しっかりと信じるものを自分で見極めて。

まっすぐ生きていきたい。

そんな風に思えるとても大切な一冊になりました。

 

 

凪良ゆうさん

 

作者である凪良ゆうさん。

 

10年以上もBL作品を書き続けている作家さんです。

そんな人間関係を書き続けているだけあり、とても繊細な心理描写に心打たれます。

センシティブな関係を描き出す名手と言われるのにも納得。

 

 

私個人的にすごく良かった作品。

今これを書きながらもまだ余韻が消えずにいます。

 

様々な感情が駆け巡る作品。

読んだ後はきっと放心状態になります。

そして使いすぎた頭には甘いものが欲しいですね。

 

読了の際は、ぜひ「アイスクリーム」をご用意ください。

 

https://twitter.com/Aya2020book
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