【 寒い国から帰ってきたスパイ / ジョン・ル・カレ 】

寒い国から帰ってきたスパイ ジョン・ル・カレ 小説

アメリカ探偵作家クラブ賞 受賞!

英国推理作家協会賞 受賞!

 

本物の英国諜報機関の元スパイ

 

ジョン・ル・カレ 著

寒い国から帰ってきたスパイ

 

 

本名はデヴィッド・ジョン・ムーア・コーンウェル。

スパイ小説の大家と知られる作家

本作は、国際諜報戦の物語なのですが、なんと作家のジョン・ル・カレ本人が、東西冷戦中に英情報部で働いた経験があるという、経験を元に書かれたリアルな物語である。

大使館の情報記録部で働いていた時から、既に執筆を始めていたジョン・ル・カレ。

外務省職員が本名で出版することは禁じられていたことから、「ジョン・ル・カレ」と言う筆名を使い始めたとか。

自身の経験を元に書かれた数々の名作

スパイ作品で有名な作家というのも頷ける。

 

寒い国から帰ってきたスパイ あらすじ

 

イギリス情報部のアレック・リーマスが密命を帯びて東ドイツに潜入した。

彼への指令は、東ドイツ諜報機関の実力者、ムントを失脚させることだった。

リーマスは、ムントに敵対するフィードラーに接触。

任務は上手くいったが、そこに待ち受けていたものは…。

舞台は冷戦の時代。

戦争、思想、非情なスパイの運命が矛盾していく恐ろしい世界。

 

”個人”と”思想”

 

スパイ作品とのことなので、勝手に秘密裏に動くかっこいい姿をイメージ!

激しいドンパチがあったりと悲劇が繰り広げられるのだろう!

と予想して読み進めていたのですが、意外と地味!

地味と言うと違う気もしますが、そんな綺麗事の世界じゃないと言われているような。

歴史の書物を読んでいるような…。

難しい!

そして、ジョン・ル・カレの経験を元に書かれているからなのか、緻密でリアルな世界が広がっていました。

(実際に作者は情報部員なのではないか!と疑われたほどにリアル。…まぁ元情報部員ではあったのですが。)

 

大きな展開などはないものの、スパイの非情な描写が恐ろしく、何が真実で何が嘘なのか…。

緊迫した雰囲気にハラハラドキドキしました。

 

 

知らぬ間に人に操られていたり、残忍な悪が救われてしまったり。

何が正義で、何が正しいことなのか。

なにを根拠に、その行動を正しいと信じているか?

そんなことを問われていく作品。

血も涙もない、ただただ任務を遂行するスパイ。

しかし、スパイも一人間。

思想の裏に隠された、”個人”が見え隠れしていました。

ちょっとグッ!ときてしまったな。

 

この作品は、1965年に【 寒い国から帰ったスパイ 】として映画化もされているとのこと。

目にしたくない残酷な描写もあるのですが…、映像化されるとなると更なる衝撃的なシーンになっているのかな。

と少し気になってみたり。

 

決して綺麗事は罷り通らない、様々なものに翻弄されるスパイの世界

堪能してみてください。

 

 

 

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