2021年本屋大賞ノミネート作品!
昨年2020年度・本屋大賞受賞作家
凪良ゆう 著
【 滅びの前のシャングリラ 】
昨年の2020年本屋大賞受賞作品【 流浪の月 】の作者さんの凪良ゆうさん。
今年も作品がノミネートされてますね。
本屋大賞を1回以上受賞されている作家さんって恩田陸さんのみなんです。
恩田陸さんは、2005年に【 夜のピクニック(新潮文庫) 】が受賞。
2017年に【 蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫) 】が受賞。
2作品目が受賞というのもすごいことですが、今回凪良ゆうさんの作品が受賞となると前代未聞の2年連続ということになりますね!
昨年の受賞作品の流浪の月もとても素敵な作品でした。
今回の作品は、そんな流浪の月とはまた異なるテイストで楽しめました。
滅びの前のシャングリラ あらすじ
「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。
なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。
滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのか――。
圧巻のラストに息を呑む。
2020年本屋大賞作家が贈る心震わす傑作。
出典 : 滅びの前のシャングリラ
小惑星の衝突により地球が滅亡!?
人類は突然、余命僅か一ヶ月を告げられる…。
いじめられっ子、17歳高校生の江那友樹。
過去に恋人から逃げ出した友樹の母親である江那静香、40歳。
人を殺したヤクザの目力信士、40歳。
そして…恋人を殺した○○○○。
残された人生でそれぞれが思うことは。望むものは。
極限まで追い詰められた人間の末路にあるものは何か。
「幸せ」について深く考えさせられる壮大な物語。
余命を告げられたら
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びます」
なんて急にテレビ放送でリアリティのない事を耳にして、余命一ヶ月を告げられたら…。
残り僅か一ヶ月の人生、あなたならどう過ごしますか?
街は閑散とし、勃発する暴動。
そこには、最後の最期まで生き延びようと必死になる人々の姿。
盗みはもちろん、パニックで暴力や殺人が繰り返される。
人間って○○が出来ない。○○が手に入らない。
という場面に立たされると、今まで以上にそれを求めてしまう生き物なんですね。
醜くなっていく人と街の風景はとてもリアルなものでした。
主人公友樹の母親である静香。
17年間女一つで守り続けてきた息子への想い。
最愛の息子を心配しながらも、息子の成長を願って背中をそっと押してくれる姿がとてもカッコ良かったです!
「愛」ってこういうことを言うのだろうな。
見返りを求めず、与えることを強く願う相手は尚更大事にしていかないといけない存在ですね。
登場人物一人一人に物語があって、みんな愛おしかったです。
辛い現実に「死にたい」なんて思っていたあの子やあの人も最期を目の前に、生きる意味を見出していく…見出してしまう。
むごい。
生きる意味、生きる希望を見出して最期まで強く生き延びていく。
そんな、最期まで希望を捨てずに生きている登場人物たちが眩しかった。
自分はそんな状況でそんな風に思える強い人間なのかな…。
自分の人生を一度立ち止まり振り返る。そんな作品だったと思います。
是非【 滅びの前のシャングリラ 】を読んで、幸せとは何か立ち止まって考えてみてください。