【 逆ソクラテス / 伊坂幸太郎 】

逆ソクラテス 伊坂幸太郎 小説

世界をひっくり返す短編5編

逆ソクラテス

新しく転入してきた安斎あんざいを筆頭に立てられる作戦。

小学6年生4人が戦う。

敵は先入観!未来の少年たちのために戦え!

ぼくは、そうは、思わない。

教師期待効果を滅するために立てられた作戦とは。

 

スロウではない

「足が速いとモテるんでしょうね。」「うむ、では。」「はい。」「消せ。」

足が速いだけが正義ではない。

ひょんな事からつるむようになった将太しょうた福生ふくお。小学5年生の2人。

過ちを犯しても、やり直すことはできる。

 

非オプティマス

これは仮の姿。そんな少年がトランスフォームしたら…。

人が試されることはだいたい、ルールブックに乗っていない場面。

人は、ほかの人との関係で生きている。

そこで今後、本当に、自分の助けになるものとは。

 

アンスポーツマンライク

小学校6年生。最後のバスケの試合。

いつも大事な時に後一歩が踏み出せないあゆむを含めたスタートメンバーの5人。

バスケの世界での残り1分を永遠という…

終わりなんかじゃないこの先もずっと続いていく世界。

誰だってやり直すことはできる。

 

逆ワシントン

幼稚園の頃から仲の良い謙介けんすけ倫彦としひこ

腹痛で休んでいる同じクラスのやすしにある疑いが浮かぶ…。

そこで誕生する「噂のドローン少年」たち。

最終的に勝つのは、真面目で約束を守る人間

 

 

小学生男子たちが主人公の短編5編。

とても読みやすく、気持ちが晴れて、勇気がもらえる作品でした。

 

先入観

 

誤った知識、妥当性に欠ける評価や判断。

そんな間違ったものを持つことこそ、まさしくソクラテスの「無知の知」。

知らないが故に生まれる過ちはとても多い。

そんな先入観に立ち向かう作品でした。

知らないことを自覚する」ことがどんなに大事なことかを思い知らされました。

子供達目線で見ることで、より明白になっている世の中の理不尽なあれこれ。

先入観から生まれた間違ったものを、大人が子供に植え付けていたら…と考えるとても恐ろしい。

 

そんな理不尽な事柄に疑問を持ち、立ち向かう勇敢な少年達。

そんな少年たちを、正しき道へと導こうとする大人たち。

そんな人間たちが色んな疑問を持ち、切磋琢磨していく物語がとても爽快でした。

子供が持つピュアでユーモア溢れる思考が、作品を読みやすくしている魅力の一つでもありました。

 

繋がりのある世界

 

一つ一つの話は別ものに見えて実は繋がりがあります。

短編5編を通して、伏線が回収されていく様子には驚きと感動がありました。

あの章で出てきた登場人物がまさかこうなるとは…

こんな道を進んでいくのか…

美しい伏線回収とその構成に一気読みしてしまうほどでした。

 

作中には磯憲いそけんという、先生の鏡とも言える魅力的な先生が登場します。

この先生は、伊坂さんの実際の恩師をモデルにしているらしいです。

こんな恩師がいるなんて羨ましい!

 

 

個人的に5作品の中で「アンスポーツマンライク」が一番好きでした。

話が少しだけうますぎるかな。という部分もありましたが、それをカバーしきってしまうほど面白かったです。

若いからこその青さや、成長過程での葛藤はどこか懐かしく、考えさせられます。

なんと言っても後味爽快!

読み終えてすごく気分が良かったです。

そしてこの物語がこっそりと最終話へ繋がっていくこの一連を是非読んで感じ取って頂きたいです。

 

是非、【 逆ソクラテス 】を読んで先入観をひっくり返しましょう!

 

https://twitter.com/Aya2020book
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