【 同志少女よ、敵を撃て / 逢坂冬馬 】

同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬 小説

 

第166回直木賞候補作!

第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作!

2022年本屋大賞ノミネート作!

 

デビュー作にしてこの熱量と勢い

 

逢坂冬馬あいさか とうま 著

同志少女よ、敵を撃て

 

 

2021年8月に行われたアガサ・クリスティー賞

最終選考会では史上初、選考委員の全員が満点をつけての大賞受賞。

大型新人として業界を震撼させた作家さんとのこと。

1985年生まれ…。

うわぁ、信じられない。同年代なのか…。

 

とにかくこの作品、すごい熱量なんですよね。

テーマがテーマなだけに、凄まじいスケールの内容なのですが…。

こんな作品がデビュー作!という点にもかなり驚きました。

TwitterのTLでも幾度となく見かけましたね!

印象的な表紙絵とともに添えられている熱烈的な感想。

ずっと気になってはいましたが、やっと読めました!

 

圧倒的熱量とボリュームとスケール。

デビュー作ということで、次作のハードルとかそんなことを勝手に考えてしまったほど。

しかし逢坂さんのツイートを見て更に恐るべし人だと驚きましたね。

もう次のことを考えてらっしゃるっっ!!

 

残念ながら直木賞は受賞ならずでしたが、その後本屋大賞にもノミネート!

今後も勢いが止まりそうにありません。

 

同志少女よ、敵を撃て あらすじ

 

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。

急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。

自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。

「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。

母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。

同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。

おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

出典 : 同志少女よ、敵を撃て

 

第二次世界大戦下でも、凄惨を極めた独ソ戦。

生まれ育った村と、愛する母親を奪われた16歳の少女セラフィマ。

母を撃ったドイツ兵、そんな遺体となった母を焼き払った赤軍女性兵士イリーナ。

仇を討つべくセラフィマは、仇であるイリーナのもとで狙撃兵として厳しい訓練をすることに。

イリーナが教官を務める狙撃兵訓練学校には、セラフィマ同様家族や住む場所を奪われた女性たちが集められていた。

訓練を共にしていく中で、人数は減りながらも成長していく同志たち。

過酷な戦地でセラフィマが目にした現実とは。

そして彼女が討つべく真の敵とは何か。

 

 

同志たち

 

セラフィマが生まれ育ったモスクワ近郊のイワノフスカヤ村の人々。

狙撃兵訓練学校の人々。

戦地で出会った男兵士たち。

沢山の登場人物がいますが、一人一人が抱えているものも異なり、一人一人に物語がありました。

 

セラフィマ・マルコブナ・アルスカヤ

1924年生まれの少女(主人公)。狩りの名手。ドイツ軍の襲撃により生まれ育った村と母親を奪われる。仇を討つために狙撃兵訓練学校へとやってくる。

イリーナ・エメリヤノヴナ・ストローガヤ

魔女と呼ばれる恐ろしき上級軍曹。『巣(狙撃兵訓練学校)』で精鋭を育てている。

シャルロッタ・アレクサンドロヴナ・ポポワ

誇り高きモスクワの工場労働者の娘(?)。イリーナ上級軍曹の一番弟子。

ヤーナ・イサーエヴナ・ハルロワ

16の時に子を産んだが、モスクワの空襲で子供を亡くす。その影響からみんなに「ママ」と呼ばれることに。

アヤ・アンサーロヴナ・マカタエワ

アジア風の容貌をもつ痩せた少女。元々、山岳地帯の凄腕猟師。

オリガ・ヤーコヴレヴナ・ドロシェンコ

ウクライナ出身のコサック。

リュドミラ・パヴリチェンコ

確認戦果309名。射殺という傑出した成績を残した史上最高の女性スナイパー。

実際に存在した女狙撃手。

 

登場人物の一部です。

ロシアが舞台なので名前がね…しかし、キャラが立っているので海外作品でも名前がなかなか入ってこない私でも、苦手意識は出ませんでした!

そして同じ名前の登場人物に嬉しくなってめちゃくちゃ推しながら読んでいた…が、そんな推しにも物語が!!

 

女性なら特にグッとくるかもしれない、戦う女性のシーンなんかもあるのでそこもチェックしてほしい。

 

同志少女よ、『敵』を撃て

 

第二次世界大戦。

ナチスドイツとソ連の戦争の悲惨な描写が胸をえぐる。

 

女でありながら、対独戦の前線に立つべく、「兵」として育てられていく。

そこには女であるが故の別の戦いも待っているわけです。

差別や格差、性的被害など

 

復讐を遂げるという目標によって生きる理由が生じる。

そして過酷な戦闘を戦う意義が生まれる。

思えば無数のソ連人民の動機もまた、復讐にある。

それが国家に基づくものであれ、復讐を果たすという動機が、戦争という、

莫大なエネルギーを必要とする事業を成し遂げ、それを遂行する巨大国家を支えてるのだ。

居場所を奪われ、大切な人を失い、生きる気力すら無くなるであろう状態で、ただその人間を動かしているのは『復讐』という怒り。

命の尊さが問われる部分でした。

 

 

ただ、目の前の敵を討つ。

余計な感情は判断を狂わせてしまうこともあるでしょう。

しかし、人殺しのための兵器ではない。そこは一人の少女。

戦地で実際に現実を目にした少女たちに生まれる様々な疑問。

彼女たちは何と戦っているのか。

 

なかなか重いテーマではありますが、戦争よりも彼女たちの物語に視点が集中しているので、ストーリー性があってアニメを見ているような感覚。

そのお陰で気難しさはそこまでなく、物語に入り込めた気がしています。

そして、これを日本人が、しかも男性が書き上げたことに改めて驚きます。

沢山の人に読んでほしい作品だと思います。

 

タイトルの『同志少女よ、敵を撃て』。

この意味がわかるシーンにグッときてしまった。

最近、印象的な部分やグッとくる言葉があると付箋を貼るようになったんですけどね…。

 

 

いや、グッときすぎ!!

 

ここ最近の紹介記事で一番の長文になりましたね。

この文字数からしてどんだけのおすすめかを察していただけたら嬉しいです!

是非【 同志少女よ、敵を撃て 】セラフィマが討つべく真の敵を、その敵との戦いを目に焼き付けてください。

 

 

https://twitter.com/Aya2020book
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