【 北壁の死闘 / ボブ・ラングレー 】

北壁の死闘 ボブ・ラングレー 小説

 

第6回 日本冒険小説協会大賞受賞

 

傑作の山岳冒険小説

 

ボブ・ラングレー 著

北壁の死闘

 

 

発売されたのは1987年12月12日とかなり古い作品ですが、今でも普通に書店に手に入るほどの名作。

手に汗握る冒険小説って面白い。

実話を元にしたのかと思うほどの、戦時下のリアルな物語。

 

北壁の死闘 あらすじ

 

アイガー北壁の難所、《神々のトラバース》を登攀中のクライマー二人が、奇妙な遺体を発見した。

白骨化した下半身、氷漬けになっていたため損われていない上半身。

二人は下山後警察に通報するが口止めされる。

話をききつけたBBC調査員が探り出した意外な事実とは?

息もつかせぬ迫力の登攀シーン、山岳冒険小説の傑作!

出典 : 北壁の死闘

 

死の壁・アイガー北壁

 

舞台はスイスを代表する、標高3,970mの山『アイガー』。

エベレストの標高(8,849m)に比べても半分もない高さの山ですが、本物の登山家のエベレストなんて言われてしまうほどの難易度の高い山だそうです。

 

 

アイガーというと名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

2016年に日本のイモトアヤコさんが挑戦し、見事に登頂を果たしていました。

イモトアヤコさんが攻略したルートは東山稜ルートと言われるもの。

この東山稜ルートもとても大変なルートなのです…。

しかし、アイガ一最難関ルートと言われているのは『北壁ルート』と呼ばれているルート。

(下写真赤い線。ほぼ垂直に登っていく北壁ルート)

 

登攀ルート

 

天気が安定しない。落石のリスクがある。休憩する場所を探すのが難しい。来た道を戻ることはできない。など…

様々な難関が待ち受けている、別名『死の壁』と呼ばれる場所。

日本でも馴染みのある、スポーツブランドTHE NORTH FACEの名前とロゴの由来となった山でもあります。お世話になってます!

 

また、登山家にとって魅力的な点がその舞台性にあります。

高く垂直にそびえ立つ『死の壁』は、アイガー(山)の下にあるグリンデルヴァルトという村から眺めることができるのです。

村から、登山家たちの勇敢なる姿が見れるわけです。

歴史に名を残すかもしれないその瞬間にスポットライトが当たり、人々の心にその姿を焼き付けることができるんですね。

そんな登山家にとって登りたくなる山であり、いく人もの登山家が挑戦してきました。

しかし『死の壁』と呼ばれる山。

2013年7月までに71人もの登山家が命を落としたとのこと。

中には、ザイル(クライミング用ロープ)に吊るされたまま死にいたる残酷なケースもあったとか(有名な事件がありました)。

 

この山、2日はかかるなんて言われているのですが…。

(作中でも日を跨いでの登山)

2022年現在での最速登頂記録更新は、スイスの登山家ウーリー・ステックの2015年 アイガー北壁ソロ 2時間22分50秒 だそうです。

…命綱なしでスイスイ登っていくんですよ。

本人は心拍数もあまり上がらなかったと言っているとか!

すごい強者がいるものですね。

しかし、このウーリー・ステックはその後に挑戦したエベレスト登山で命を落としてしまう。

 

 

 

ちなみに、日本は群馬県と新潟県の境目にある「谷川岳たにがわだけ(標高1,977m)」。

世界一(日本一ではなく世界レベル)遭難者が多い山であり、アイガーのようにザイルで吊るされたまま…という恐ろしく有名な事件がありました。

(挑戦者の数が多いということもありますが、谷川岳の2012年までの死者数は805人。)

 

手に汗握る登攀の様子

 

第二次世界大戦下で奮闘する人々に熱いものを感じつつも…。

やはり、アイガー登攀の描写がすごい!熱い!ムネアツ!

 

生でアイガーを見たこともなければ、登ったこともなく、その険しさを身を持って知ることもない。

そんな人間でも、文字を追うごとに惹きこまれて、苦しい難関が立ちはだかる度に息苦しくなったり。

辛く険しい空気が伝わってきて、これ翻訳小説なのか…と改めて気付いたり。

 

登山ギアについて解説してくれている場面も!

 

更に、主人公であるエーリッヒ・シュペングラーがかっこいい!

アイガー北壁に立ち向かうその姿。

登山家たちの互いに信頼し、思いやるその姿勢。

後半一気読み間違いなしの冒険小説でした!

そして、冒険小説だけにとどまらないある物語も…是非読んでほしい!

 

そして、どんな山でも山で飲むコーヒーはうまい!

 

 

https://twitter.com/Aya2020book
タイトルとURLをコピーしました