【 初恋温泉 / 吉田修一 】

初恋温泉 吉田修一 小説

5つの温泉と湯

 

初恋温泉

熱海「 蓬莱 」

重田光彦と彩子の夫婦は熱海の温泉に。

温泉旅行の前日に突如彩子から離婚話を切り出される光彦。

初恋の女性を幸せにしようと頑張って来たはずだった。

そこには夫婦のすれ違いがありました。

 

白雪温泉

青森「 青荷温泉 」

結婚を控えた辻野と若菜は青森のランプの宿、青荷温泉に。

コンパで出会った互いに盛り上げ役のよく喋るカップル。

電気もない。テレビもない。あるのはランプだけという暗い宿の部屋。

しかし日常の喧騒から離れてのんびりと出来ることで人気の宿。

そこでとある男女に出会う。

 

ためらいの湯

京都「 祇園 畑中 」

勇次と理沙の夫婦。勇次は妻に内緒で京都に一泊二日の不倫旅行に。

完璧な計画を立てるのが得意。しかしすぐに自信が無くなってしまうのが欠点である勇次。

落ち合うはずの旅館には不倫相手の和美の姿が見えない。

 

風来温泉

那須「 二期倶楽部 」

加瀬恭介と真知子の夫婦は那須に旅行するはずが…。

保険会社に勤めている恭介。仕事への不安を突かれて真知子と言い合いになる。

二人で計画した旅行は恭介一人でする羽目になる。

そこで知り合った山本かおりという女性。

恭介の不安が爆発する。

 

純情温泉

黒川「 南城苑 」

健二と真希の高校生カップル。

親に嘘をついて二人は温泉旅行へ。

同じ歳でありながら少し大人びている彼女の真希。

そんな真希の不安に耳を傾ける健二。

純粋で青い恋愛に顔がほころぶ。

 

過去に訪れた伊香保温泉

 

色んな人々が訪れる温泉や旅館。

一人一人にドラマがあります。

実際に実在する温泉や旅館を舞台にしたリアルな物語。

(那須の二期倶楽部は現在営業を終了しており他のホテルになっているようです。)

時には切なく、あたたかく、ほろ苦い

5つの恋愛短編小説です。

 

旅の目的

 

温泉を訪れる人は様々で、その状況や意味合いも異なってきます。

一つ一つの物語は結末がしっかりと書かれていません。

ですが自分なりに色々想像できるのが面白いところでもありました。

読者によって様々な結末があるのではと思うとワクワクします。

男女で異なる想いや思考に、共感してしまう部分や、ドキリとさせられる部分があったり。

男性視点で進むストーリーに女性である私はとても新鮮な思いで読み進めることができました。

 

 

5作品ある中で一番好きだったのが「 白雪温泉 」でした。

似た者同士のお喋りカップルは、互いに信頼し合っているような憧れる関係で、読んでいてとても癒されました。

また、この「 白雪温泉 」に出てくる青森のランプの宿もとても特徴が捕らえられているようで、細かい描写にリアル感が増しているように思えました。

実際に実在する宿とのことで調べてみると、本当にテレビも電気も無い、電波も無いのでスマホも使えない宿らしいです。

そんなランプだけで照らされた空間は、日常から離れてゆっくりするのにはぴったりだそうで、人気の宿でした。

行ってみたくなる温泉と土地。

 

 

おすすめしていただいた本作は、温泉旅行の際に鞄に忍ばせて読もうと思っていたのですが我慢できず。

読了後も温泉旅行に持って行きたくなる作品になりました。

私の目的は、改めてこの本をゆっくりと読んで、癒されることになりそうです。

 

決め手

 

皆さんは温泉旅行の目的地を決める際の決め手はなんでしょうか。

近場にあること。

人気な温泉。

友人・知り合い・ネットの口コミ。

料理が美味しい。

素敵な景色がある。

その決め手も様々だと思います。

 

私も一人で温泉旅行してしまうほどの温泉好き。

仕事の関係上、距離的な部分で場所を決めることが多いのです。

またはネットで調べた知識をもとに行ってみたい温泉を選んだりもします。

有名所ですと…

静岡県 熱海温泉

静岡県 伊東温泉

群馬県 草津温泉

神奈川県 箱根湯本温泉

は良く行く場所です。

観光地にあるお土産屋さんや美術館なんかも好きで、やはり旅館やホテルだけではなくこの立地も決め手になりますよね。

 

過去に訪れた草津の湯畑

 

温泉で言うと草津温泉は特に良かった思い出があります。

暑すぎないお湯でも、数分で体の芯からじんわりとポカポカするあの感じ。

自宅のお風呂では体験できないこのじんわりとした感じが好きです。

 

【 初恋温泉 (集英社文庫) 】で登場した温泉地は行ったことのない場所もあり、今後の温泉旅行の目的地の決め手になりそうです。

男女関係の行方も気になる部分でしたが、なんと言っても温泉に行きたくなる一冊。

温泉好きな方には是非おすすめしたい作品です。

 

 

https://twitter.com/Aya2020book
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