【 虐殺器官 / 伊藤計劃 】

虐殺器官 伊藤計劃 小説

 

2006年第7回小松左京賞最終候補!

2007年ベストSF2007国内篇第1位!

ゼロ年代SFベスト国内篇第1位!

 

SF界に衝撃を与えた男

 

伊藤計劃 著

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

2009年3月20日、癌のために34歳という若さでこの世を去ったSF作家、伊藤計劃。

2007年6月に発表されたこの【 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 】でデビューをし、オリジナルの長編作品は僅か2作品。

小説家のとして過ごした時間は3年ほどだったそうです。

 

抗癌剤の副作用から解放された伊藤計劃は10日ほどで虐殺器官を書き上げたと言います。

一刻一刻と自分の体に迫る最期の時に向けて「書く」ことを選び、凄まじい集中力で書き上げたられた作品。

2007年には早川書房のSF専門業書〈ハヤカワSFシリーズ Jコレクション〉から書き下ろし単行本として出版され、SF界にセンセーションを巻き起こしました。

 

虐殺器官 あらすじ

 

9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。

先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。

米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……

彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?

出典 : 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

 

アメリカの特殊部隊の兵士であるクラディス・シェパード。

世界各地で大量虐殺を引き起こしているという謎のアメリカ人、ジョン・ポールを追跡することに。

ジョン・ポールという男とは。

世界混乱の影に常に名前が出てくるこの男ジョン・ポールが用いている「虐殺の器官」とは。

 

あの宮部みゆきに

私には、3回生まれ変わってもこんなにすごいものは書けない。

と言わせたゼロ年代最高のフィクション!

 

虐殺の器官

 

読み進めていくのに凄まじい集中力を必要とし、なかなか確信が掴めずに苦労した一冊でした。

SFの世界というものに興味はあったものの、どうしても「難しそう」という苦手意識があって今までなかなか踏み込めずにいました。

しかしながら、中盤内容を把握した辺りから読む手が止まらず一気読み。

 

理由も告げずに逝くことは、遺された者を呪縛する。

この呪いは本質的に解かれることはありえない。

 

まさに母親の死からこの呪縛に悩まされ続ける「ぼく」こと主人公のクラヴィス。

常に罪の意識を抱えて生きています。

 

そんな主人公が追跡することになるジョン・ポール。

彼の行く先々で大量虐殺が巻き起こります。

この大量虐殺をに隠された謎。

首謀者であり悪役でもあるジョン・ポールですが、単純な悪役ではない。

むしろどこか主人公クラヴィスに似ている部分がある天才。

個人的にはこのジョン・ポールという男がとても気に入りもう少し掘り下げて欲しかったところもあります。

 

 

作中で巻き起こる「虐殺」。

その「虐殺」に必要な「文法」というべき本能、器官は誰しもが持ち合わせているもの。

誰しもがそれを利用して「虐殺」を巻き起こすことができる。

そんな他人事ではないドキりとさせられる場面があったり…。

緻密に構成された近未来な舞台に想像力が掻き立てられて、戦争のグロテスクな描写も目を瞑りたくなるほどリアル。

そしてラストの「ぼく」の衝撃的な行動…。

 

一度読んだだけでは読み込めていない部分もあり、私の「ことば」では表現しきれない素晴らしい作品でした。

映画版も観てみたいと思っています。

今作の未来の物語と言われる【 ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) 】で更に伊藤計劃ワールドを堪能していきたいと思います。

 

 

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